中四がんプロ活動報告

H.Lee Moffitt Cancer Centerにおける研修報告

研修期間 2016年2月15日~2月19日
報告者 岡山大学 神崎 洋光(医師)
研修内容 Medical Oncologist Course

第1日目(2月15日)

9:00~10:30【事務手続】

10:30~17:00【Medical Oncologist(Dr. Soares)の外来見学】

遠隔転移を伴う神経内分泌腫瘍の患者を中心に治療を行っている。日本では近年保険適応となったオクトレオスキャンを臨床的に使用されていた。また、日本で保険適応ではないゼローダ+テモダールというレジメンについても説明を受けた。
 化学療法中は必ずしもDr.の診察があるわけではなく、血液データは必ず薬剤師がチェックを行い、医師の診察は1カ月毎と、医師の負担が軽減されるようになっていた。また化学療法が15時から行われており、通常19時まで行うとのことであった。
 GI Unitの待合は基本的にソファであり、患者さんに待たせる負担をできるだけ軽減するような環境であった。
 Dr. SoaresはGI UnitのOncologist staffであったが、1カ月は入院患者を診る期間があり、そのほかの11カ月は外来患者を診るというかたちで入院と外来は完全に医師が分かれているようであった。

GI Unitの待合室
GI Unitの待合室

第2日目(2月16日)

9:00~17:00【Medical Oncologist(Dr. Strosberg)の外来見学】

ほとんどすべてが遠隔転移を伴う神経内分泌腫瘍の患者であり、日本ではほとんど見ないようなカルチノイド症候群の患者やMEN I型の患者など貴重な症例を見学させていただいた。
 患者の総数は1日で16名と日本にくらべるとゆっくりであった。また、患者1名あたりの診察時間は5~10分で、メディカルスタッフが次回予約やCTなど多くの仕事をカバーしてくれている。

Dr. Strosberg
Dr. Strosberg

第3日目(2月17日)

9:00~17:00【Endoscopy Unitの見学】

1日の総検査数13件と日本と比べると圧倒的に少ない件数であった。検査には医師の他に麻酔専門看護師(CRNA)1名、看護師2名の合計4名が入っており、特に麻酔専門看護師が全身状態をしっかり把握していたため、医師は検査に専念することができていた。

Endoscopy Unit
Endoscopy Unit

第4日目(2月18日)

9:00~17:00【PA(Physician Assistant)の外来見学】

PAは大学卒業後に少なくとも1年以上の就業をしたのちPA schoolにて12ヶ月の座学+16ヶ月の臨床を受け、国家試験を受けて資格を取ることができる国家資格であり、医師のサインがあれば一人で外来業務を行うことができる。Moffittには177人のPAもしくはARNP(Advanced Registered Nurse Practitioner)がいて外来業務を行っている。その仕事内容はほぼ医師と同様であり、主に経過観察の患者が多くであったが、日本にこのようなシステムがあればどれだけ医師の外来業務の負担が軽くなるであろうかと感じた。

第5日目(2月19日)

9:00~17:00【Medical Oncologist(Dr. Strosberg)の外来見学】

16日と同様に外来業務の見学。

まとめ

1. 研修先において学んだこと

神経内分泌腫瘍に対する薬物治療の第一人者であるDr. Strosbergの外来を見学することができ、多くの遠隔転移を伴う神経内分泌腫瘍の患者を見ることができた。日本では稀であり、患者を診る機会がないため、非常に有意義であった。
 アメリカのシステムであるPAやARNP、CRNA(Certified Registered Nurse Anesthetist)などのメディカルスタッフの方々の活動を間近に見ることができた。
 内視鏡のレベルはやはり日本の方がレベルが高いものがあると感じた。

2. それをどのように教育に生かすか(いつまでに、どのような形で、どこまで)

日本では患者が少ないため神経内分泌腫瘍に関する薬物療法の教育ができる体制はできているとは言えない。各種がんとは治療方針が大きく異なるため、臨床的にも教育的にも得た知識を使用することは有意義であると考える。

3. それをどのように臨床に生かすか(いつまでに、どのような形で、どこまで)

神経内分泌腫瘍の患者は少ないものの、岡山大学病院を受診される神経内分泌腫瘍の患者に対する治療に今回得た経験は大きく寄与すると考えられる。
 また、メディカルスタッフが責任を持って一人で外来や診療をする体制がある事が印象的であった。日本では実現可能なのか不明であるが、可能な範囲で体験したことをメディカルスタッフへ伝えていきたいと思う。

4. それを実行するための方策

今回の体験をがんプロFD研修報告会で報告し、得た経験をできるだけ共有したい。また、私が所属する消化器内科でも報告会を開き、アメリカにおける臨床について報告していく。

文責 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学 神崎 洋光